ダウン症の確率は年齢でどれくらい変わる?母体年齢別の目安をNIPT認証施設が解説

「自分の年齢だと、ダウン症の赤ちゃんが生まれる確率はどれくらいなのだろう」
妊娠がわかると、うれしさと同時にこのような不安が出てくる方は少なくありません。
特に35歳前後、40歳前後で妊娠された方では、ご自身の年齢が気がかりとなり、このような不安が強くなることもあります。
しかしダウン症の確率は、母体の年齢だけで判断できるものではありません。
この記事では、ダウン症候群(21トリソミー)の確率について、母体年齢別の目安、年齢以外に関係する要素、NIPTやエコーで出る「確率」の読み方などを踏まえながら整理します。
出生前診断やNIPT全体の種類、費用、検査の流れを先に知りたい方は、当院の解説ページ「NIPT(新型出生前診断)」もあわせてご覧ください。
結論:ダウン症の確率は母体年齢とともに上がる一方で、20代でもゼロではない

ダウン症の確率は、母体年齢が上がるほど高くなることが知られています。
一般に、20代では低く、30代後半から40代にかけて上昇が目立ちます。
一方で、「35歳未満なら関係ない」「20代ならダウン症の心配はない」というわけではありません。
データとしては若年層の方がダウン症児を出産する確率が低いと言えますが、20代でもゼロではありません。
ダウン症とは

ダウン症は、21番染色体に由来する遺伝情報が通常より多いことで起こる先天的な状態です。医学的には「21トリソミー」とも呼ばれます。
人の染色体は通常46本ありますが、ダウン症候群では21番染色体が1本多い、または21番染色体の一部が他の染色体に付着して余分に存在することがあります。
これにより、発達がゆっくりであること、筋肉の緊張が弱いこと、特徴的な顔立ち、心疾患や消化器疾患などを伴うことがあります。
ただし、症状や発達のペース、合併症の有無には個人差があります。
また、ダウン症の多くは偶発的に起こるもので、妊娠中の食事や運動、仕事、生活習慣が原因で起こるものではありません。
ダウン症には、主に「標準型21トリソミー」「転座型」「モザイク型」があります。
このうち多くを占めるのは標準型21トリソミーで、母体年齢が上がるほど発症確率が高くなることが知られています。
母体年齢別|ダウン症の確率早見表

以下は、母体年齢別のダウン症の確率の目安です。
ただし、このデータは現在発表されている研究結果や資料に基づいて算出したものです。
あくまで年齢とともに確率が上がる傾向を理解するための目安としてご覧ください。
| 年齢 | 胎児がダウン症の確率 |
|---|---|
| 20歳 | 約1/2,000 |
| 25歳 | 約1/1,200 |
| 30歳 | 約1/900 |
| 33歳 | 約1/600 |
| 34歳 | 約1/450 |
| 35歳 | 約1/350 |
| 36歳 | 約1/300 |
| 37歳 | 約1/250 |
| 38歳 | 約1/200 |
| 39歳 | 約1/150 |
| 40歳 | 約1/100 |
| 42歳 | 約1/70 |
| 43歳 | 約1/50 |
| 45歳 | 約1/30 |
この表を見ると、35歳で急に確率が跳ね上がるように感じるかもしれません。
しかし、34歳までは安全で35歳からは危険、というわけではありません。
実際の確率は20代から30代、40代にかけて連続的に上昇します。
また、年齢別の確率は「その年齢の全員に同じことが起こる」という意味ではありません。たとえば35歳の約1/350という数字は、350人に1人は必ず起こり、349人は絶対に起こらないという意味ではなく、集団として見た目安です。
なぜ母体の年齢が上がるとダウン症の確率も上がるのか

ダウン症(21トリソミー)の多くは、21番染色体が通常より1本多い状態で起こります。
この背景には、卵子や精子ができる過程で染色体が正常に分離しない「染色体不分離」があります。
私たちの体内で卵子や精子が作られるときには、染色体が分裂し、染色体の総数が46本から23本に減少します(減数分裂)。
ところが、21番染色体がうまく分かれず、卵子(または精子)に21番染色体が2本入ったままの状態になることがあります。これが「染色体不分離」です。
その卵子が受精すると、胎児の細胞では21番染色体が3本になり、ダウン症(21トリソミー)となります。
この染色体不分離は、母体の年齢が上がるとともに起こりやすくなるとされています。
染色体の分裂には、染色体をつなぎとめる「コヒーシン」や、染色体を正常に分配する「紡錘体」などの働きが影響しています。
加齢に伴い、これらの働きが不安定になると、染色体不分離が起こりやすくなると考えられています。
つまり、ダウン症の確率が年齢とともに上がるのは、妊娠中の生活習慣の問題ではなく、卵子形成と染色体分配の生物学的な仕組みによるものなのです。
35歳未満でもダウン症の赤ちゃんが生まれる理由

年齢別の確率だけを見ると、35歳未満ではダウン症の可能性がかなり低く見えます。
それでも、35歳未満の妊婦さんからダウン症の赤ちゃんが生まれることはあります。
理由は2つあります。
1つ目は、若年層の妊婦さんでも、ダウン症の赤ちゃんを出産する確率はゼロではないということです。
1/1,000という確率は低い数字ですが、決して「自分に起こらない」という意味ではありません。
2つ目は、若年層の妊娠・出産数が多いことです。
出産数が多い年齢層では、一定数のダウン症の赤ちゃんが生まれます。
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)も「母体年齢が上がるとダウン症児を出産する確率も上がる一方、若い女性の出生数が多いため、ダウン症児の多くは35歳未満の母親から生まれる」と説明しています。
そのため、「若いから検査は不要」とも、「高齢だから必ず検査すべき」とも一概には言えません。
検査を受けるかどうかは、年齢だけでなく、何を知りたいのか、結果をどう使いたいのかによって変わります。
母体年齢以外にダウン症の確率に影響すること・しないこと

ここからは、母体年齢以外で、ダウン症の確率に影響する要素としない要素を整理します。
ダウン症の確率に影響する要素
1. 過去にダウン症児の妊娠・出産歴がある
過去にダウン症児の妊娠・出産の経験がある場合、次の妊娠では、胎児がダウン症となる確率が高くなることがあります。
一般的には母体年齢による確率に約1%が加算されます。
2. 両親の染色体の構造異常
ダウン症の多くは偶発的に起こる「標準型21トリソミー」ですが、両親の染色体構造の影響を受ける「転座型」のダウン症もあります。
現在公表されている研究結果や各種資料によると、転座型のダウン症の約1/3で、親のどちらかが「均衡型転座※」の保因者であるとされています。
その場合、胎児が転座型のダウン症となる確率は、保因者の性別や転座の型によって変わります。
| ケース | 胎児が転座型のダウン症となる確率 |
|---|---|
| t(14;21)で母親が保因者 | 約10〜15% |
| t(14;21)で父親が保因者 | 約2〜5%、資料によっては約1.4〜5% |
| 21q;21q転座で親が保因者 | ほぼ100% |
※実際の症状は出ていないが転座型の染色体を持つタイプ
ダウン症の確率に影響しない要素
1.体外受精・顕微授精
体外受精や顕微授精そのものが、ダウン症の確率を大きく上げると単純には言えません。
重要なのは、治療を受ける方の年齢や卵子・胚の染色体の状態です。
不妊治療では年齢が高い方も多いため、「体外受精だから確率が高い」のではなく、「妊娠時年齢の影響を受けている」ケースがあります。
2.経産婦であること
経産婦だからダウン症の確率が下がる、または上がる、という単純な関係はありません。
基本的には母体年齢、過去の妊娠歴、染色体異常の既往、家族歴などを総合して考えます。
どちらとも言えない要素
父親の年齢
ダウン症の確率と父親の年齢が無関係かどうかについては、現在も研究・議論が続けられています。
ただし、一般的なダウン症の確率表では、主に母体年齢が用いられます。
父親の年齢だけでダウン症の確率を大きく見積もることは通常ありません。
ダウン症の確率と出生前診断・確定的検査の関係

ダウン症の確率を考えるときは、年齢だけではなく、検査結果の意味を理解することが大切です。
エコー(超音波)、NIPT、クアトロ検査、コンバインド検査の4つについて、ポイントをまとめています。
1. エコー(超音波)による所見は「確率を判断する材料」であり、確定的な診断ではない
エコーでダウン症を確定することはできません。
ただし、ダウン症を含む染色体疾患を疑う所見が見つかることはあります。
- NT(首の後ろのむくみ)が厚い
- 鼻骨が見えにくい
- 羊水が多い
- 羊水が少ない
- 心室中隔欠損などの心疾患の可能性
- 胎児が小さい・発育不全
- 前置胎盤・低置胎盤
- 単一臍帯動脈(へその緒(臍帯)の血管のうち、動脈が1本しか見つからない状態)
1つの所見だけでダウン症の確率を判断することはできないため、妊娠週数、測定条件、複数所見の有無、NIPTや血清マーカーの結果などを組み合わせて考えます。
2. NIPT(新型出生前診断)は高精度だが、確定的な検査ではない
NIPTは、妊婦さんの血液中にある胎盤由来のcfDNAを分析し、主に21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー、13トリソミーの可能性を調べる検査です。
2017年のメタ解析では、NIPTによる「単胎妊娠における21トリソミー」の検出率は99.7%、偽陽性率は0.04%と報告されています。非常に精度の高いスクリーニング検査です。
しかし、NIPTは確定診断ではありません。
陽性の場合は、羊水検査や絨毛検査などの確定的検査で確認する必要があります。
陰性の場合も、対象疾患の可能性は大きく下がりますが、ゼロになるわけではありません。
なお、出生前検査認証制度等運営委員会が紹介するNIPTコンソーシアムの約10万人追跡調査では、21トリソミー陽性と出た1,100件のうち、確定的検査を受けた981人中955人で21トリソミーが確認され、陽性的中率は97.3%とされています。
ただし、この数字は受検者背景に左右されます。すべての妊婦さんにそのまま当てはまるわけではありません。
3. クアトロ検査・コンバインド検査も確定的な検査ではない
クアトロ検査では、妊婦さんの血液中の成分、母体年齢、妊娠週数、体重などを組み合わせて、ダウン症などの確率を計算します。
結果は「1/300」「1/900」のような形で返ることがあります。
この数字は、診断名ではなくリスクの推定です。
ただし、結果がカットオフ値※より高ければ「陽性」または「高リスク」と扱われ、追加検査を検討することがあります。
コンバインド検査は「初期超音波検査」と「母体血清マーカー(妊婦の血液を採取して行う検査)」を組み合わせて確率を出す検査です。
超音波所見を組み込むため、単なる年齢だけの評価より情報が増えますが、これも確定診断ではありません。
※検査や測定の結果において、陽性(異常あり)と陰性(異常なし)を分ける境界の数値
確率が高いと言われた後に考える検査
NIPT、クアトロ検査、コンバインド検査、エコー所見などで「胎児がダウン症の確率が高い」と言われた場合、次に考えるのは「確定的検査」です。
代表的な確定的検査には、「絨毛検査」と「羊水検査」があります。
絨毛検査は胎盤の一部を、羊水検査は羊水中の胎児由来細胞を調べます。
どちらも染色体を直接調べるため、スクリーニング検査より確定的な情報が得られます。
一方で、これらはお腹や子宮に針を刺す「侵襲的検査」であり、流産のリスクがゼロではありません。
こども家庭庁の出生前検査情報サイトでは、流産リスクの目安として「絨毛検査0.2%、羊水検査0.1〜0.3%程度」が示されています。
また2019年のメタ解析では、手技関連流産リスクは「羊水検査0.30%、絨毛検査0.20%」と推定されています。
確率が高いと言われた場合でも、すぐに結論を出すのではなく、検査の目的、得られる情報、リスク、結果後の選択肢を整理することが大切だと押さえてください。
必ずしも出生前診断や確定的検査を受ける必要はない
出生前診断や確定的検査は、必ず受けなければならないものではありません。
検査を受ける選択も、受けない選択もあります。
大切なのは、検査を受ける場合も受けない場合も、ご本人とご家族が十分な情報を得て納得して選ぶことです。
検査結果が出た後にどう受け止めるか、どこまで知りたいかも含めて考える必要があります。
ダウン症の確率に関してよくある質問

東京・丸の内での出生前診断は「丸の内の森レディースクリニック」へ

ダウン症の確率は、母体年齢だけで決まるものではありません。
母体年齢が上がるとともに確率も上がる傾向にはありますが、それだけで「安心」「危険」と結論づけることはできません。
20代・30代前半でも胎児がダウン症となる可能性はゼロではなく、反対に35歳を過ぎたからといって必ず胎児がダウン症となるわけでもありません。
具体的な確率は、母体年齢や両親の染色体の構造、出生前診断や確定的検査などを踏まえて、総合的に判断します。
丸の内の森レディースクリニックは、日本医学会の出生前検査認証制度等運営委員会に認められたNIPT認証施設です。
当院では、検査前の説明、遺伝カウンセリング、プレエコー、陽性時のフォローまで含めて、妊婦さんとご家族が納得して選べる体制を大切にしています。
当院の出生前診断では、院長・宋美玄が遺伝カウンセリングとプレエコーを担当します。NIPTでわかること、わからないこと、陽性的中率、偽陽性・偽陰性、検査結果が出た後の流れまで、わかりやすくご説明します。
また、NIPTの前には超音波検査で赤ちゃんの状態を確認します。
NIPTは非常に優れた検査ですが、赤ちゃんの形や臓器の異常まですべてわかる検査ではありません。
実際に当院では、NIPTを希望して来院された方のうち、検査前の超音波所見によりNIPT以外の方針がより適切と判断された方が5.9%いらっしゃいました。
陽性時には、結果の意味を丁寧に説明し、確定診断のための羊水検査や連携医療機関へのご案内まで含めて対応します。
「自分の年齢ではどのくらいの確率なのか」「NIPTを受けた方がよいのか」「エコーも一緒に受けるべきか」「検査を受けるかまだ迷っている」という段階でも、ぜひご相談ください。
参考文献
- 丸の内の森レディースクリニック「出生前診断(NIPT・新型出生前診断)|東京・丸の内のNIPT認証施設」
- こども家庭庁 出生前検査認証制度等啓発事業「出生前検査とは?」
- 出生前検査認証制度等運営委員会「NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)とは」
- 出生前検査認証制度等運営委員会「認証医療機関・認証検査分析機関一覧」
- Gil MM, et al. Analysis of cell-free DNA in maternal blood in screening for aneuploidies: updated meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2017.
- ACOG「Current ACOG Guidance: Non-Invasive Prenatal Testing」
- ISUOG Practice Guidelines (updated): performance of 11-14-week ultrasound scan. 2023.
- 出生前検査認証制度等運営委員会「NIPTを受けた10万人の妊婦さんの追跡調査」
- Salomon LJ, et al. Risk of miscarriage following amniocentesis or chorionic villus sampling: systematic review of literature and updated meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2019.
- Morris JK, Mutton DE, Alberman E. Revised estimates of the maternal age specific live birth prevalence of Down's syndrome. J Med Screen. 2002.
- CDC「Down Syndrome」
- MedlinePlus Genetics「Down syndrome」
- National Down Syndrome Society「About Down Syndrome」
- 公益財団法人 日本ダウン症協会「ダウン症とは」
- Merck Manual Professional Version「Down Syndrome (Trisomy 21)」
- Newberger DS. Down Syndrome: Prenatal Risk Assessment and Diagnosis. American Family Physician. 2000.
- Sheets KB, et al. Practice guidelines for communicating a prenatal or postnatal diagnosis of Down syndrome: recommendations of the National Society of Genetic Counselors. J Genet Couns. 2011.







