出生前診断を受ける割合|年齢別のデータと増加理由を解説

出生前診断やNIPT(新型出生前診断)を考え始めたとき、最初に気になるのは「自分と同じ年代の人は、どれくらい受けているのか」かもしれません。
しかし、出生前診断を受ける「割合」は、どの検査を含めるか、どの調査を使うかで数字が変わります。
NIPTだけの割合なのか、クアトロテストや羊水検査、精密超音波検査まで含めた割合なのか。全国の実施件数なのか、妊婦さんへのアンケートなのか。この分母を見ないまま割合だけを比べると、実態より多くも少なくも見えてしまいます。
この記事では、厚生労働省・こども家庭庁関連資料、日本医学会の出生前検査認証制度等運営委員会の年次報告、国内研究データなどをもとに、出生前診断を受ける割合を整理します。
結論|出生前診断を受ける割合は増加傾向

厚生労働省の専門委員会資料に掲載された2020年のインターネット調査では、「何らかの出生前検査を受けた」と答えた割合は、出産時年齢別に次のように示されています。
| 出産時の年齢 | 何らかの出生前検査を受けた割合 |
|---|---|
| 35歳未満 | 17.1% |
| 35-39歳 | 34.7% |
| 40歳以上 | 59.1% |
この数字だけを見ると、35歳未満では約6人に1人、35-39歳では約3人に1人、40歳以上では約6割が何らかの出生前検査を受けている、というイメージになります。
ただし、この調査は全国の妊婦全員を対象にした調査ではありません。
妊娠・育児情報サイトの会員を対象にしたインターネット調査であり、回答者448名のうち35歳以上で出産した人が36.1%とやや多い傾向です。
そのため、本記事ではこの数字を「年齢別の傾向を見るための参考値」として扱います。
一方、全国規模の実施件数に近いデータとしては、国立成育医療研究センターなどの研究グループが、2003~2023年の国内の出生前遺伝学的検査の実施状況を解析しています。
その報告では、全妊婦における出生前遺伝学的検査全体の実施率は、2011年頃の約3%から2023年には11.5%へ増加したとされています。
医療機関単位の国内研究でも、年齢が上がるほど受検割合が上がる傾向は一貫しています。2014-2017年に妊娠16週未満で受診した5,700人を対象にした単施設研究では、何らかの出生前遺伝学的検査を受けた割合は全体で34.8%、30歳未満9.4%、30-34歳19.0%、35-39歳43.1%、40歳以上50.7%でした。
単施設研究のため全国平均のデータではありませんが、「年齢とともに希望・受検が増える」という傾向を補強するデータです。
つまり、日本全体では「出生前遺伝学的検査を受ける人は増えている」が、「妊婦全体の大多数が受けている」とまでは言えません。
一方で、高年齢層では受ける割合が明らかに高く、30代前半以下でも一定数の方が検討・受検しています。
年齢別|出生前診断を受けた割合と考え方

ここからは、年代別の出生前診断を受けた割合と、出生前診断の考え方・受け止め方を見ていきましょう。
20代・30歳未満|割合は高くないが、不安があれば検査の相談を
20代では、年齢による染色体数的異常の確率は30代後半以降より低い傾向があります。
そのため、出生前診断やNIPTを受ける割合も高くはありません。
ただし、「若いから絶対に必要ない」とは言い切れません。
染色体異常は年齢とともに頻度が上がりますが、どの年齢でもゼロにはなりません。
また、出生前診断でわかることは限られており、「障害をもって生まれる確率」をすべて調べられる検査でもありません。
たとえばNIPTは、認証施設では21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーの可能性を調べる非確定的検査です。
知的発達、形態異常、単一遺伝子疾患、出生後にわかる病気まで、すべてを調べる検査ではありません。
20代で検査を考える場合は、「みんな受けているか」よりも、何を知りたいのか、結果をどう受け止めるのか、NIPTでわからないことも含めて理解できているかが大切です。
30代前半|検索が増えている年代。NIPT受検者が多い層
30代前半は、医学的には35歳以上の高年妊娠に入る前の年代です。
一方で、妊娠・出産の平均年齢が上がる中で、30-34歳は出生数としても大きなボリュームがあります。国立社会保障・人口問題研究所の人口統計資料集2026年版では、2024年の出生数は30-34歳が最も多い年齢階級として示されています。
また、2024年度の認証制度下NIPTデータでは、NIPT受検者の33.0%が30-34歳でした。
これは、35歳未満でもNIPTを検討する人が少なくないことを示しています。
ただし、30代前半で受けるべきかどうかは、年齢だけでは決まりません。次のような観点を整理すると判断しやすくなります。
- 年齢による確率を、どの程度気にしているか
- 妊婦健診や超音波検査で気になる所見があったか
- 検査結果が陽性だった場合に、確定検査まで進むか
- パートナーや家族と、結果後の対応について話せているか
- 検査で「わかること」と「わからないこと」を理解しているか
30代前半の方は、「高齢出産ではないから不要」と決めつける必要も、「周囲が受けているから自分も」と焦る必要もありません。
迷っている段階で医師に相談し、検査を受けない選択も含めて整理することが大切です。
35-39歳|出生前診断を受ける割合が大きく上がる年代
河合蘭氏・ベビカム共同のインターネット調査(2020年)では、35-39歳で何らかの出生前検査を受けた割合は34.7%でした。約3人に1人という数字です。
35歳前後から出生前診断を考える人が増える背景には、染色体数的異常の頻度が母体年齢とともに上がることがあります。
しかしACOG(米国産科婦人科学会)は、染色体異常はおよそ出生150人に1人でみられ、頻度は年齢とともに上がる一方、どの年齢でも起こり得ると説明しています。
つまり35歳を過ぎたら必ず出生前診断を受けるべき、ということではありません。
実際、35-39歳でも受けない方は多くいます。
大切なのは、年齢による確率の上昇をどう受け止めるか、検査で得られる情報が自分たちの妊娠生活や準備に役立つかを考えることです。
40歳以上|何らかの出生前検査を受けた人が約6割という調査も
河合蘭氏・ベビカム共同のインターネット調査(2020年)では、40歳以上で何らかの出生前検査を受けた割合は59.1%でした。年齢層別では最も高い数字です。
40歳以上では、胎児の染色体数的異常の頻度だけでなく、妊娠経過全体への不安も大きくなりやすい年代です。
検査を受けることで安心できる方もいれば、逆に結果が出るまでの期間がつらく感じられる方もいます。
特に40歳以上でNIPTを検討する場合は、NIPTの結果だけで完結させず、超音波検査や羊水検査なども含めて「次に何をするか」を確認しておくことが大切です。
当院では、NIPTの採血前に超音波検査を行い、NIPTが本当に適した選択かを確認しています。
年齢だけで一律に検査をすすめるのではなく、妊娠週数、超音波所見、ご本人の不安、検査後の希望をふまえて一緒に考えます。
NIPTを受けた人の割合

現在広く知られている出生前診断「NIPT」に注目して、受検割合を見てみます。
NIPT受検者の中で、各年齢層が占める割合
日本医学会の出生前検査認証制度等運営委員会が公表した「2024年度実施状況報告」では、認証制度下の検査分析機関から、NIPT検査総数64,049件が報告されています。
受検者の年齢分布は次の通りです。
| 年齢 | 認証制度下NIPT検査総数に占める割合 |
|---|---|
| 19歳以下 | 0.0% |
| 20-24歳 | 0.8% |
| 25-29歳 | 13.1% |
| 30-34歳 | 33.0% |
| 35-39歳 | 37.8% |
| 40歳以上 | 15.3% |
NIPTは「35歳以上だけが受ける検査」という時代から、30代前半の方も現実的に相談・受検する検査へ変わってきているようです。
ただし、このデータはあくまで「認証制度下の検査分析機関」の報告をもとにしています。非認証機関のデータは含んでおらず、全国的な平均を正確に示したものではありません。
羊水検査・絨毛検査を受ける割合は減っている?
出生前診断を受ける割合が増えている一方で、羊水検査や絨毛検査のような侵襲的検査(体に傷や負担を与える検査)は、NIPT導入後に大きく減少したことが報告されています。
国立成育医療研究センターなどの解析では、2013年のNIPT導入以降、羊水検査・絨毛検査などの侵襲的検査は大きく減少しました。
一方で、侵襲的検査における染色体異常の検出率は2006年の8.4%から2023年には20%へ上昇し、より高いリスクがある症例に侵襲的検査が行われるようになった可能性が示されています。
出生前診断を受ける人が増えている理由

出生前診断を受ける人が増えた理由は、主に以下の4つが考えられます。
- 出産年齢が上がっている
- NIPTの登場で、非侵襲的に調べられる選択肢が広がった
- 出生前診断の情報の普及
- 認証施設が増え、相談先が見つけやすくなった
1. 出産年齢が上がっている
日本では、出産年齢の高年齢化が進んでいます。
人口統計資料集2026年版では、2024年の出生数は30-34歳が最多で、35-39歳、40-44歳の出生も一定数あります。
このように、35歳以上の出産が珍しくなくなったことで、染色体数的異常の確率や妊娠経過への不安から、出生前診断について調べる人も増えたと言えます。
ただし出生前診断は、年齢が上がったから必ず受ける、若いから受けない、という単純な話ではありません。
年齢は判断材料のひとつですが、最終的には本人と家族の価値観、検査後の対応、医療者との相談内容によって決まります。
2. NIPTの登場で、非侵襲的に調べられる選択肢が広がった
NIPTは、妊婦さんの血液中に含まれる胎児由来のDNA断片を解析する検査です。
採血で行えるため、羊水検査や絨毛検査のように流産のリスクを伴いません。
国内では2013年以降、NIPTが臨床研究として導入され、検査数が増えてきました。
日本のNIPTコンソーシアムの3年間の全国経験では、2013年4月から2016年3月までに30,613件の検査が実施されています。
その後の日本の検査分析機関データでも、NIPTは21・18・13トリソミーに対する高い感度・特異度が報告されています。
一方で、NIPTの診断だけでは、赤ちゃんの脳、心臓、顔面、手足、内臓、胎盤、羊水などの形態的な異常を見つけることはできません。必要に応じて超音波検査などを行う必要があります。
3.出生前診断の情報の普及
出生前診断を受ける人が増えている背景には、検査について知る機会が増えたこともあります。
以前は、出生前診断という言葉自体を妊娠後に初めて知る方も少なくありませんでした。
しかし現在は、妊娠前からNIPTや出生前診断について検索したり、SNSや医療機関のサイト、妊娠アプリなどで情報に触れたりする機会が増えています。
情報に触れる機会が増えると、「自分も受けるべきなのか」「同じ年齢の人はどのくらい受けているのか」「NIPTと羊水検査は何が違うのか」といった疑問を持つ方も増えます。
また、インターネット上には正確な情報だけではなく、過激な表現や誤解を招く情報があり、不安を覚える方もいます。
出生前診断は、必ず受けなければならないものではありません。
ご本人とご家族にとって納得できる選択をすることが大切です。
4. NIPTの認証施設が増え、相談先が見つけやすくなった
かつてのNIPTは、大学病院や都市部の総合病院などで行われていましたが、NIPTを実施する医療機関や検査分析機関の認証制度が見直され、現在は一定の基準を満たした施設(NIPT認証施設)が増加しつつあります。
その結果、「まず医師に話を聞いてから考えたい」「NIPTが自分に必要かどうか整理したい」という方が、検査を受ける前の段階で医師に相談しやすくなり、出生前診断を検討する人も増加したと考えられます。
一方で、認証施設ではない医療機関でもNIPTが行われているため、料金の安さや検査項目の多さだけで選ばないことが大切です。
また、出生前診断は検査を受けて終わりではありません。
検査前の説明、超音波検査、陽性時の確定診断への接続、結果後の心理的サポートまで含めて、安心して相談できる施設を選ぶことが大切です。
当院もNIPT認証施設として、検査前の説明、超音波検査、結果後のフォローまで含めてご相談いただける体制を整えています。
海外と比べると、日本の出生前診断の受検割合はどう違う?

出生前診断の受検率は国によって大きく異なります。各種公開情報に基づく概数では、イギリスは約90%、フランスは約80%、アメリカは約60%とされ、日本より高い傾向にあります。
これは国によって、公的制度、保険、妊婦健診の標準項目、NIPTの位置づけなどが大きく異なるためです。
例えばイギリスでは、NHS(イギリスの国民保健サービス)が胎児異常スクリーニングプログラムとして、対象となる妊婦にダウン症候群、エドワーズ症候群、パタウ症候群のスクリーニングを提供しています。
またアメリカでは、ACOG(米国産科婦人科学会)が2026年のPractice Advisoryで、21・18・13トリソミーに対するcfDNAスクリーニングをすべての妊婦に日常的に利用可能にすべきとし、検査を受ける権利と断る権利の両方を明記しています。
一方日本では、出生前診断は任意であり、多くは自費です。
検査の受検については、本人と家族が主体的に考える必要があります。
だからこそ、検査の精度だけでなく、検査前後の説明、超音波検査、陽性時の確定検査への接続、心理的サポートまで含めて施設を選ぶことが大切です。
NIPT(新型出生前診断)を認証施設で受ける意味

NIPTは採血だけで受けられる検査のため、手軽な検査に思えるかもしれません。
しかし、検査結果の解釈や陽性時の対応が非常に大切です。
認証施設では、特に以下の点に留意しています。
- 検査前に十分な説明と遺伝カウンセリングを行う
- 受ける・受けないのどちらにも誘導しない
- NIPTの対象疾患と限界を説明する
- 陽性的中率や偽陽性・偽陰性を説明する
- 陽性や判定保留の場合に確定的検査へつなげる
- 小児医療や福祉の情報にもつなげる
- 認証された検査分析機関に委託する
- 実施状況を年次報告として提出する
なお、こども家庭庁の専門委員会では、2023年にNIPT受検経験者を対象にした調査結果が報告されています。
認証施設で受けた人は産科医療機関・健診施設で受けた割合が80%以上であった一方、非認証施設では産婦人科医療機関以外が85%であったことも報告されています。
また、非認証施設では検査後の説明が十分でない、不安が残った、陰性以外の結果を得たときに認証施設で受ければよかったと感じる、といった課題も議論されています。
当院では、院長・宋美玄が遺伝カウンセリングと超音波検査を担当し、NIPTの前に必ず超音波で赤ちゃんの状態を確認します。
NIPTが最適ではないと考えられる場合は、別の検査や方針をご提案することもあります。
NIPTや出生前診断の受検割合が増えている今だからこそ、と考えず、結果の前後まで支えてくれる施設で相談することが大切です。
出生前診断を受けるかどうか迷ったときの判断軸

出生前診断を受けるかどうかは、正解がひとつに決まるものではありません。
受検割合のデータは参考になりますが、「みんなが受けているから」「受けない人もいるから」だけで決めることはおすすめしません。
迷ったときは、次の項目について検討・整理してみてください。
1. 何を知りたいのか
「ダウン症候群の可能性を知りたい」のか、「赤ちゃんに障害がないか広く知りたい」のか、「妊娠継続の判断材料にしたい」のか、「出産後の準備をしたい」のかで、適した検査も説明すべき内容も変わります。
特に現在広く知られている「NIPT」でわかるのは、主に21・18・13トリソミーの可能性です。すべての病気や障害がわかるわけではありません。
2. 結果が陽性だった場合にどうするか
NIPTの陽性は確定診断ではありません。
陽性時には、羊水検査などの確定的検査で確認する必要があります。
検査前に「陽性だったら確定検査を受けるのか」「どの医療機関で受けるのか」「結果が確定したら、どんな情報や支援が必要か」を確認しておくと、結果後の不安を減らしやすくなります。
3. 検査を受けない場合、不安とどう付き合うか
当院では、出生前診断を受けない選択も尊重されるべきだと考えています。
ただし、受けないと決めても不安が強く残る場合は、通常の妊婦健診や超音波検査で何を確認できるのか、どの時期に何を見ていくのかを医師と整理しておくと安心につながります。
4. 検査結果を誰と共有するか
出生前診断は、妊婦さん本人だけでなく、パートナーや家族の価値観にも関わります。
一方で、最も身体的・心理的負担を受けるのは妊婦さん本人です。
誰の意見を聞くのか、最終的に誰が決めるのか、検査前に話し合っておくことが大切です。
当院の診療案内NIPT(新型出生前診断)|NIPT(新型出生前診断)とは出生前診断を受ける割合に関してよくある質問

東京・丸の内での出生前診断は「丸の内の森レディースクリニック」へ

出生前診断やNIPTを受ける人は増加傾向にあります。
しかし、検査の受検割合はあくまで「他の人のデータ」です。
自身が検査を受けるかどうかは、年齢、妊娠週数、超音波所見、抱えている不安、検査結果をどう受け止めたいかなどによって変わります。
当院では、NIPTの認証施設として、検査前に医師がカウンセリングを行い、その方に合った選択肢をご提案します。
NIPT・出生前診断の全体像、費用、検査の流れ、当院が認証施設として大切にしていることは、以下のページでも詳しく解説しています。
▷NIPT(新型出生前診断)ページはこちら
参考文献
- 厚生労働省 第2回NIPT等の出生前検査に関する専門委員会 資料「女性から見た出生前検査」
- 国立成育医療研究センター「NIPT導入の前後10年間における各出生前遺伝学的検査を解析」
- 出生前検査認証制度等運営委員会「令和6年度(2024年度)実施状況報告」
- 出生前検査認証制度等運営委員会「NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)とは」
- 国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2026年版)表4-7 女性の年齢(5歳階級)別出生数および出生率」
- ACOG Practice Advisory「Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities」
- Sago H, et al. Current status of non-invasive prenatal testing in Japan. PubMed
- Sasaki Y, et al. Evaluation of the clinical performance of noninvasive prenatal testing at a Japanese laboratory. PubMed
- 出生前検査認証制度等運営委員会「NIPTを実施する認証施設とは」
- GOV.UK「Antenatal screening standards: data report 2024 to 2025」
- こども家庭庁 第1回NIPT等の出生前検査に関する専門委員会 議事録・資料
- 厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況」
- Kawai R, et al. Pregnant women's preferences for prenatal genetic testing: A single-center study in Japan. PubMed







