NIPTを受けるべきか迷ったら|「受けない選択」も含めた判断のポイント

「NIPTを受けるべきなのかな」「受けなかったら後悔するのかな」と、妊娠初期に悩む方は少なくありません。
SNSや周囲の体験談を見て、「みんな受けているのでは」「自分も受けた方がいいのでは」と焦ってしまう方もいるでしょう。
結論から言うと、NIPTはすべての妊婦さんが必ず受けるべき検査ではありません。
一方で、検査の意味を理解したうえで受けることで、妊娠中の過ごし方や出産準備を考えやすくなる方もいます。
大切なのは、「受ける・受けない」のどちらが正しいかではなく、自分たちが何を知りたいのか、結果をどう受け止めたいのかを整理したうえで選ぶことです。
この記事では、NIPTを受けるかどうか迷っている方に向けて、判断の軸をわかりやすく整理します。
そもそもNIPTとは何か

NIPTは「新型出生前診断」「非侵襲性出生前遺伝学的検査」と呼ばれる出生前検査の一つです。
妊婦さんの採血を行い、血液中に含まれる胎盤由来のDNA断片(cfDNA)を分析して、赤ちゃんに特定の染色体疾患がある可能性を調べます。
ここで大切なのは、NIPTは「確定的な検査ではない」という点です。
NIPTの検査結果は「陽性」「陰性」「判定保留」などで示されますが、陽性は「その疾患の可能性が高い」という意味であり、診断が確定したわけではありません。
陽性だった場合には、羊水検査などの確定的検査を検討することになります。
また、陰性だった場合も、赤ちゃんのすべての病気が否定されるわけではありません。NIPTでわかるのは、主に対象となる染色体疾患の可能性です。
脳、心臓、手足などの形態的な異常や、出生後の発達・症状の重さまではわかりません。
つまりNIPTは、「赤ちゃんのことを全部調べる検査」ではなく、「赤ちゃんが特定の染色体疾患を持つかどうかを、妊娠中に調べるための検査」と言えます。
NIPTを受けるべきか悩んでしまう理由

NIPTを受けるかどうかで悩むのは、とても自然なことです。
採血だけで受けられる検査とはいえ、検査結果がもたらす意味は軽くありません。
NIPTを受けるべきか悩んでしまう理由の一つが、「知ることで心の準備ができるかもしれない」という気持ちと、「知ることでかえって不安になるかもしれない」という気持ちが同時に存在することです。
厚労科研の出生前検査に関する意識調査でも、出生前検査で胎児の情報を知ることについて、8割以上の女性が「準備ができる」という思いと、「分かっても治せないなら不安になる」という思いの両方を抱いていることが報告されています。
また、妊婦さんの年齢もNIPTを受けるかどうか悩んでしまう理由の一つに挙げられます。
35歳以上になると染色体疾患の確率が上がるとされていますが、「35歳以上なら必ずNIPTを受けるべき」とは言えません。
反対に、「20代や30代前半だからNIPTを受ける必要はない」とも言い切れません。
さらに、NIPTは医学的な検査であると同時に、お一人おひとりの価値観に深く関わる検査であるため、時にご家族、特にパートナーと考え方が一致せず、検査をためらう方もいらっしゃいます。
NIPTを受けるか受けないかは、いつまでに判断するべき?

NIPTは妊娠10週以降から検討されることが多い検査です。
ただし「10週になったらすぐ受けなければならない」というものではありません。
大切なのは、時間に少し余裕を持って考えることです。
NIPTの結果が出るまでには、約1〜2週間ほどかかることがあります。
もし陽性だった場合には、より詳しい超音波検査、絨毛検査や羊水検査などの確定的な検査について考える時間が必要になります。
目安としては、妊娠8~9週頃までに「NIPTを受けるかどうか」を考えておくことをおすすめします。
検査自体は、10週~12週頃に受けると時間的な余裕があります。
また、妊娠15週頃を迎えると、NIPTを受検できなくなることもあります。
これは検査結果が出るまでの期間と、その後の確定的な検査に必要な期間を踏まえての判断です。
NIPTを受けるかどうかを焦って決める必要はありませんが、期間のリミットは意識しておく必要があります。
NIPTを受けるかどうかの判断軸

NIPTを受けるかどうかを考えるときは、次の5つの軸に分けて考えると、自分たちにとって必要な検査かどうかが見えやすくなります。
- 赤ちゃんのどんな情報を知りたいのか
- 結果をどう活かしたいのか
- 陽性だった場合の次の行動を考えられるか
- NIPTを受けることで安心できるか、不安が強くなるか
- 母体年齢と染色体疾患のリスクの相関をどう考えるか
1.赤ちゃんのどんな情報を知りたいのか
NIPTで主にわかるのは、21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーの可能性です。
すべての先天性疾患や、赤ちゃんの発育などがわかるわけではありません。
そのため、「赤ちゃんに何も病気や疾患がないか確認したい」という目的で受けると、検査後にギャップが生まれることがあります。
一方で、「対象となる3つの染色体疾患について、早めに可能性を知っておきたい」という目的であれば、NIPTは意味のある選択肢になります。
まずは、自分たちが何を知りたいのかを言葉にしてみることが大切です。
2. 結果をどう活かしたいのか
NIPTの結果を知ることで、妊娠中の過ごし方や出産準備を整理しやすくなる方もいます。
例えば、陽性の可能性が示された場合に、詳しい検査を受ける、出産施設を検討する、小児科や新生児科のある病院について調べる、家族や職場のサポート体制を整える、といった行動につながることがあります。
また、陰性だった場合に、対象疾患についての不安が少し軽くなり、妊娠生活を落ち着いて過ごしやすくなる方もいます。
「結果を知ったら、自分たちはどうしたいのか」を事前に考えておくことが大切です。
3. 陽性だった場合の次の行動を考えられるか
NIPTが陽性だった場合、それだけで診断は確定しません。
出生前検査認証制度等運営委員会の追跡調査では、NIPT陽性後の陽性的中率は21トリソミーで97.3%、18トリソミーで88.0%、13トリソミーで54.3%でした。
NIPTは精度の高い検査ですが、確定的な検査ではなく、疾患の種類によっても正確性は大きく異なります。
そのため、陽性だった場合には、絨毛検査や羊水検査などの確定的な検査を受けるか、詳しい超音波検査を受けるか、遺伝カウンセリングで状況を整理するかなど、さまざまな判断が必要になることがあります。
検査前にすべてを決めておく必要はありません。
しかし、「陽性だったらどんな選択肢があるのか」「いつまでに何を判断すべきなのか」は、整理しておくことをおすすめします。
4. NIPTを受けることで安心できるか、不安が強くなるか
人によって、不安との付き合い方は異なります。
NIPTによって気持ちが落ち着く方もいれば、かえって不安が大きくなる方もいます。
これは、どちらが正しいということではありません。
大切なのは、自分がどちらのタイプに近いかを知ることです。
「情報がある方が安心」「赤ちゃんについて早く知っておきたい」と感じるなら、NIPTは気持ちを整理する助けになるかもしれません。
一方で、「結果が出るまで眠れなくなりそう」「陽性だった場合に夫婦で話し合える自信がない」と感じるなら、先に遺伝カウンセリングやプレエコー(初期超音波検査)などを行って気持ちを落ち着ける選択肢もあります。
5.母体年齢と染色体疾患のリスクの相関をどう考えるか
母体年齢が上がると、赤ちゃんが染色体疾患を持つ可能性も高くなる傾向があります。
そのため、ご自身の年齢に不安を感じ、NIPTの受検を決めた方は少なくありません。
実際に、NIPTコンソーシアムの追跡調査では、NIPTを受けた理由として「高年齢の妊娠」が94.3%と大多数を占めていました。
ただし、○○歳以上なら必ず受けるべき、20代なら受けなくてよい、というものではありません。
年齢に加えて、超音波検査で気になる所見があるか、過去の妊娠・出産歴、家族歴、そしてご本人が何を知りたいのかを合わせて考えることが大切です。
NIPTを受ける前にパートナーと話しておきたい8つの項目

NIPTを受けるかどうかを考えるときは、検査前にパートナーと次のようなことを話しておくと、落ち着いて判断しやすくなります。
- NIPTで何を知りたいのか
- 知りたい情報、知りたくない情報は何か
- 検査結果の受け止め方について、お互い考えが一致しているか
- 陰性だった場合、どのくらい安心できそうか
- 陽性だった場合の選択肢をどう考えるか
- 上の子、仕事、家族のサポート体制
- NIPTを受ける不安と受けない不安のどちらが強いか
- NIPTを受けないと決めた場合、自分たちは納得できそうか
すべてに答えが出なくても構いません。
「これはまだ話し合えていない」と気づくこと自体が、判断の助けになります。
「NIPTを受けない」という選択も尊重されます

NIPTは任意の検査です。
「自分たちは受けない」と決めることも、まったく自然な選択です。
NIPTを受けないことは、赤ちゃんのことを考えていないという意味ではありません。
よく考えたうえで、「自分たちには今NIPTを受ける必要はない」と判断する方もいます。
例えば、どのような結果でも妊娠中の方針は変えないと考えている方、結果を知ることで不安が強くなりそうな方、まずは妊婦健診や超音波検査を大切にしたい方にとっては、NIPTを受けない選択が合うこともあります。
ただし、「よくわからないから受けない」ではなく、NIPTで何がわかり、何がわからないのかを知ったうえで選ぶことが大切です。
受ける場合も、受けない場合も、納得して選んでいただければと思います。
NIPTの受検に対する当院の考え方

丸の内の森レディースクリニックでは、NIPTを受ける・受けないのどちらかに誘導することはありません。
出生前検査は、医学的な情報だけではなく、ご本人とご家族の価値観に深く関わる検査です。
だからこそ、検査を申し込む前に、何を知りたいのか、結果をどう受け止めるのかを一緒に整理する時間が大切だと考えています。
当院はNIPT認証施設として、検査前の説明と相談を大切にしています。
院長・宋美玄が遺伝カウンセリングとプレエコーを担当し、採血前に超音波で妊娠週数や赤ちゃんの状態を確認したうえで、NIPTがその方に本当に合っているかを一緒に考えます。
「まだ受けるか決めていない」「夫婦で意見が分かれている」「受けないつもりだけれど情報だけ聞きたい」という段階でも、ご相談いただけます。
検査の詳細やご予約については、下記のページをご覧ください。
▷NIPT(新型出生前診断)
NIPTの受検に関してよくある質問

東京・丸の内でのNIPT(新型出生前診断)は「丸の内の森レディースクリニック」へ

NIPTを受けるべきかどうかに、すべての人に共通する正解はありません。
受けることで、対象となる染色体疾患について早めに情報を得て、妊娠中の過ごし方や出産準備を考えやすくなる方もいます。
一方で、受けないことで、自分たちらしい妊娠生活を大切にできる方もいます。
丸の内の森レディースクリニックでは、NIPT認証施設として「NIPTを受ける・受けない」の判断のご相談もお受けしています。
院長・宋美玄が遺伝カウンセリングと超音波検査を担当し、NIPTの前に必ず超音波で赤ちゃんの状態を確認します。
NIPTが最適ではないと考えられる場合は、別の検査や方針をご提案することもあります。
迷っている段階でも、お気軽にご相談ください。
参考文献
- 丸の内の森レディースクリニック「出生前診断(NIPT・新型出生前診断)|東京・丸の内のNIPT認証施設」
- 出生前検査認証制度等運営委員会「NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)とは」
- 出生前検査認証制度等運営委員会「NIPTを受けた10万人の妊婦さんの追跡調査」
- こども家庭庁委託事業「妊娠中の検査に関する情報サイト|出生前検査とは?」
- こども家庭庁委託事業「妊娠中の検査に関する情報サイト|NIPTを実施する認証施設」
- 出生前検査認証制度等運営委員会「NIPT認証医療機関・認証検査分析機関一覧」
- 厚生労働科学研究成果データベース「出生前検査に関する妊産婦等の意識調査や支援体制構築のための研究」







