丸の内の森レディースクリニック

NIPTはいつからいつまで受けられる?ベストな時期の考え方

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執筆者兼監修者プロフィール

当院の診療内容は全て医師が監修しております。

院長 宋 美玄
院長
宋 美玄
Mihyon Song

妊娠初期は、妊婦健診、分娩先の検討、仕事や家族への報告など、決めることが一気に増える時期です。その中で出生前検査について調べると、情報が多く、かえって迷ってしまうこともあると思います。

特にNIPT(新型出生前診断)の受検については、「いつから受けられるの?」「何週で受けるのが一番いい?」「もう遅いのでは?」と不安になる方は少なくありません。

結論からいうと、NIPTは一般的に妊娠10週以降から受けられる検査です。
当院でも、原則としてエビデンスのある妊娠10週以降からNIPTを行っています。

ただし、「10週になったらすぐ受けるのが全員にとって正解」というわけではありません。
赤ちゃんの心拍や発育を確認できているか、初期精密超音波検査を組み合わせるか、結果が出たあとにどのような選択肢があるかによって、適した時期は少し変わります。

この記事では、NIPTがいつから何週まで受けられるのか、早すぎる場合・遅すぎる場合にどのような注意点があるのか、そして実際には何週ごろに受けるのが考えやすいのかを、認証施設の立場からわかりやすく解説します。

NIPTは妊娠10週から受けられる

NIPTを受けられる時期:原則 妊娠10週0日以降。採血前に、超音波で週数・心拍を確認します

NIPTは、妊婦さんの血液を採取し、血液中に含まれる「cfDNA」というDNAの断片を分析する検査です。このcfDNAの一部は胎盤に由来します。胎盤は赤ちゃんと同じ受精卵から発生しているため、胎盤由来のDNAを調べることで、赤ちゃんに21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーがある可能性を評価します。

出生前検査認証制度等運営委員会ではNIPTは妊娠9〜10週以降に行う検査と説明されています。
一方、国内の認証施設や海外の産婦人科系ガイドでは、実際の運用として妊娠10週以降を目安にしていることが多く、当院でも妊娠10週以降を原則としています。

ここで大切なのは、妊娠週数の数え方です。
妊娠週数は、排卵日や性交日からではなく、原則として最終月経の開始日を0週0日として数えます。
ただし、月経周期が不規則な方、排卵日がずれた方、不妊治療で妊娠された方などでは、実際の週数と自分で計算した週数がずれることがあります。
そのため、NIPTを受ける前には、超音波検査で妊娠週数や予定日を確認しておくことが大切です。

「妊娠検査薬が陽性になったから、すぐNIPTを受けたい」と思う方もいます。
しかし、妊娠検査薬が陽性になるのは妊娠4〜5週ごろが多く、その時期はまだ胎嚢や心拍が確認できないこともあります。
NIPTは採血だけでできる検査ではありますが、妊娠初期の状態を確認せずに急いで受ける検査ではありません。

10週より前のNIPTをおすすめしにくい理由

10週より前のNIPTをおすすめしにくい理由:判定保留になる場合がある。胎盤由来cfDNAが十分でないと、検査として評価しにくいことがあります

NIPTを妊娠10週以降に行う大きな理由は、胎盤由来のcfDNAの量が関係しています。
妊娠週数が早すぎると、母体血中に含まれる胎盤由来cfDNAの割合が十分でないことがあり、検査結果が出にくくなる場合があります。

結果が出にくい場合、NIPTでは「判定保留」となることがあります。
判定保留とは、陽性でも陰性でもなく、検査として十分に評価できなかった状態です。
出生前検査認証制度等運営委員会の説明では、NIPTの判定保留は0.3〜0.4%程度とされています。頻度としては高くありませんが、早すぎる受検や採血条件などによっては、再採血や別の検査を検討する必要が出てきます。

また、NIPTの前には、赤ちゃんの心拍確認も重要です。
妊娠初期は、誰にでも流産が起こりうる時期です。まず妊娠が子宮内で成立しているか、心拍が確認できるか、週数が大きくずれていないかを見たうえで、NIPTを受けるかどうかを考えるほうが安心です。

当院では、NIPTの前にプレエコーを行い、赤ちゃんの状態を確認してから検査に進みます。
これは「採血できるか」だけを見るためではありません。NIPTがその方にとって本当に適した検査か、先に超音波で確認しておくべき所見がないかを見極めるためです。

NIPTはいつまで受けられる?大切なのは「時間の余裕」

オレンジ色の壁の前に置かれた白い時計

NIPTには、「この週数を過ぎたら絶対に検査できない」という全国共通の明確な上限があるわけではありません。施設によって受けられる週数の範囲は異なります。
ただし、実際に考えるべきなのは、「検査そのものができるか」よりも、「検査結果が出たあとに十分な時間が残っているか」です。

NIPTの結果は、施設や検査会社によって異なりますが、一般的には数日から1〜2週間程度で返ってきます(出生前検査認証制度等運営委員会では、採血から結果を受け取るまでの日数を1〜2週間と説明しています)。
当院では通常3〜7日で結果をお伝えし、陽性の場合はまずお電話でご連絡します。

皆さんに知っていただきたいのは、NIPTは確定的な検査ではないということです。
NIPTはあくまで21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーの可能性が高いことを示す結果であり、診断を確定するためには羊水検査などの確定的な検査が必要になります。

そのため、NIPTを遅い時期に受けると、検査結果を受け止める時間や、羊水検査などの確定的な検査を検討する時間が短くなってしまいます。

妊娠中の判断は、ご本人やご家族の価値観、生活、気持ちの整理とも深く関わります。
だからこそ、できるだけ早めに相談し、落ち着いて考える時間を確保することが大切です。

NIPTの受検は何週がベスト?迷ったら10〜13週台がひとつの目安

NIPTの受検タイミング:10〜13週台が目安。迷ったら早めに相談し、週数に合わせた選択肢を残しましょう

NIPTを受けるベストな時期は、何を重視するかによって変わります。
できるだけ早く結果を知りたい方もいれば、超音波検査と組み合わせて、採血だけではわからない情報も併せて確認したい方もいます。

大まかには、妊娠10週から13週台がNIPTを検討しやすい時期です。
妊娠10週ごろにNIPTを受けると、早い段階で結果を知ることができ、その後に初期精密超音波検査を組み合わせる余裕もあります。

一方、妊娠11〜13週ごろは、NT(首の後ろのむくみ)を含む初期精密超音波検査の適期と重なりやすく、NIPTと超音波を同じ時期に行いやすいタイミングです。

当院では、主に次のようなモデルスケジュールをご案内しています。

  • パターンA:10週頃に遺伝カウンセリング+プレエコー+NIPT/11〜13週に初期精密超音波検査
  • パターンB:11〜13週に遺伝カウンセリング+初期精密超音波検査のうえでNIPT

例えば「できるだけ早くNIPTの結果を知っておきたい」という方は、妊娠10週ごろにNIPTを受け、その後に初期精密超音波検査を追加する流れが合っていると言えます。
反対に、「NIPTを受けるかどうかを慎重に決めたい」「複数の検査をできるだけ同じ時期に済ませたい」という方は、11〜13週に初期精密超音波検査とNIPTを組み合わせる流れが合うかもしれません。

お仕事の休みが取りにくい方、上のお子さんの予定がある方、つわりが強い方などは、予定どおりに受診できないこともあります。
だからこそ、迷っている段階で早めに予約や相談をしておくと、週数に合わせた選択肢を残しやすくなります。

NIPT前の超音波検査が大切な理由

妊娠初期の赤ちゃんの超音波写真

NIPTは精度の高い検査ですが、赤ちゃんの全てを検査できるわけではありません。
NIPTでわかるのは、主に21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーの可能性です。
心臓、脳、消化管、手足などの形態的な所見や、3つのトリソミー以外の疾患については、NIPTだけではわかりません。

そのため、NIPTの前後で「超音波検査」を組み合わせることが大切になってきます。
超音波検査では、妊娠週数、心拍、胎児の発育、多胎かどうか、明らかな形態的所見がないかなどを確認できます。

当院では、NIPTの採血前に必ずプレエコーを行います。
実際に、検査前の超音波所見により、一部の方にはNIPT以外の選択肢を提案させていただきました。これは、NIPTを受けることを妨げるためではなく、限られた時間と費用の中で、その方にとってより適した検査を選ぶためです。

「NIPTを受ける」と決めて来院された方でも、超音波で確認すると、先に初期精密超音波検査を優先したほうがよい場合があります。
逆に、超音波で大きな問題が見当たらないことを確認してからNIPTを受けることで、気持ちが少し整理される方もいます。

NIPTでわかること・わからないこと

おなかの中の赤ちゃんのイラスト

認証施設で行うNIPTでは、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーの3つの染色体疾患の可能性について調べます。
しかしNIPTでわかるのは「染色体疾患の可能性が高いか低いか」であり、症状の程度までわかるわけではありません。

また、NIPTは非確定的な検査です。
検査結果を確定させたい場合は、羊水検査や絨毛検査などの確定的な検査を行う必要があります。

なお、NIPTの検査精度については、多くの研究で高い性能が報告されています。2017年のメタ解析では、単胎妊娠における21トリソミーの検出率は99%以上、18トリソミーや13トリソミーについても高い検出性能が示されています。日本のデータでも、NIPTは21・18・13トリソミーに対して高い感度・特異度を示しています。

ただし、「精度が高い」と「すべてがわかる」は別です。
認証施設では、性染色体や微小欠失などの拡大項目は原則として対象にしていません。これは、検査精度や医学的意義、倫理的・社会的影響をふまえた判断です。
また赤ちゃんの形態に関しては、超音波検査などで検査することになります。

NIPTの結果が陽性・陰性・判定保留だった場合

NIPTの結果の見方:1. 陽性は対象疾患の可能性が高いが確定的ではない、2. 陰性は対象疾患の可能性が低いが形態的な異常等は分からない、3. 判定保留は検査として評価できなかった状態

NIPTの結果は、基本的に「陽性」「陰性」「判定保留」のいずれかで示されます。

陽性の場合

陽性は、対象疾患の可能性が高いという意味です。
ただし、陽性が確定されたわけではありません。実際には病気がないにもかかわらず陽性と出る「偽陽性」があります。
国内のNIPTコンソーシアムの追跡調査では、NIPT陽性後に確定的な検査へ進んだ方の陽性的中率は、21トリソミーで97.3%、18トリソミーで88.0%、13トリソミーで54.3%と報告されています。つまり、NIPTで陽性となっても、確定的な検査で否定される方が一定数います。

陰性の場合

陰性は、対象疾患の可能性が非常に低いという結果です。
出生前検査認証制度等運営委員会は、21・18・13トリソミーについてNIPTで陰性だった場合、その的中率はどの年齢層でも99.99%以上と説明しています。
一方で、偽陰性がゼロになるわけではありません。また、NIPTで対象にしていない病気や形態的な異常が別に見つかることがあります。だからこそ、NIPTだけではなく、妊婦健診や超音波検査を受けることが大切です。

判定保留の場合

判定保留は、結果が出せなかった状態です。
胎児分画が少ない場合、検体条件、検査上の理由など、さまざまな要因が考えられます。
判定保留になった場合は、再度NIPTを行うか、羊水検査など別の検査を検討するかを、超音波所見や妊娠週数を踏まえて相談します。

双胎(双子)の場合の注意点

双胎妊娠でも、施設によってはNIPTを受けられます。
当院でも双胎の方のNIPTに対応しています。ただし、双胎では結果の解釈に注意が必要です。

例えばNIPTで陽性となった場合、その結果がどちらの赤ちゃんに関するものかは、NIPTだけでは判断できません。
また、単胎妊娠よりも説明が必要な事項が多いこともあります。

「双子だから受けられない」と自己判断する必要はありませんが、「単胎とまったく同じように考えればよい」とも言い切れません。
双胎の方は、妊娠週数が早いうちに認証施設へ相談することをおすすめします。

認証施設でNIPTを受ける意味

パソコンの前でほほえむ女性医師

NIPTそのものは、採血のみのため短時間で終わる検査です。
しかし、本当に大切なのは、NIPTの前後にあります。何を調べる検査なのか、検査を受けてもわからないことは何なのか、陽性だったらどうするのか、陰性の場合どこまで安心してよいのか。
こうした点を理解しないまま受けると、結果を受け取ったあとにかえって不安が大きくなることがあります。

このような不安をできるだけ減らすためには、NIPTの認証施設での検査をおすすめします。

認証施設とは、出生前検査認証制度等運営委員会からの認証を受けた医療機関・検査分析機関のことです。
認証施設では、NIPTに関する正しい情報提供、検査前後の遺伝カウンセリング、必要時の連携体制が整えられています。
また認証施設のNIPTでは、精度の高い結果が得られる3つの染色体疾患(21・18・13トリソミー)に限定して検査を行い、必要に応じて羊水検査を含む他の検査につなげられる体制が重視されています。

当院は認証施設として、院長・宋美玄が遺伝カウンセリングとプレエコーを担当し、検査前に赤ちゃんの状態を確認したうえでNIPTに進みます。
陽性時には、確定的な検査である羊水検査を無料で受けていただけます。必要に応じて、連携先である東京慈恵会医科大学附属病院へご案内します。

NIPTは、受けること自体が目的ではありません。
ご本人とご家族が、必要な情報を得て、納得して次の一歩を考えられることが大切です。受けるかどうか迷っている段階でも、ぜひご相談ください。

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NIPTは、原則として妊娠10週以降から受けられる検査です。
ただし早く受けすぎると検査結果が正常に出ない可能性があり、遅くなりすぎると検査結果を受け止める時間や陽性時の確定検査までの時間が短くなるため、受検を迷っている方は早めのご相談をおすすめします。

当院では、NIPTの前にプレエコーを行い、赤ちゃんの状態を確認したうえで、その方に合った検査をご提案しています。
受けるかどうか決めきれていない段階でも大丈夫です。まずはお気軽にご相談ください。

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