丸の内の森レディースクリニック

ピル/女性ホルモン製剤の選択肢

執筆者件監修プロフィール
当院の診療内容は全て医師が監修しております。
理事長
宋 美玄
婦人科治療では、ライフステージや疾患・症状に応じてさまざまな女性ホルモン製剤を使うことがあります。こちらでは、当院で、治療で処方しているピルや女性ホルモン製剤の種類や目的などについて解説します。
この10年くらいで、ピルなどの女性ホルモン製剤の開発が進み、種類が豊富で安全性の高いものも増えてきました。処方を求めて受診される患者さまも多いです。

1.OC(低用量経口避妊薬)

OCの写真

OCは避妊を主目的として承認されているピルです。排卵を抑え、子宮内膜を薄く保ち、子宮頸管粘液にも変化を与えることで妊娠を防ぎます。日本では純粋に避妊目的だと自費診療となります。保険が効くピル(LEP製剤)と同様の働きの薬剤ですが、制度上に違いがあるということになります。

当院では、トリキュラー、マーベロン、ラベルフィーユ(トリキュラーの後発品)、ファボワール(マーベロンの後発品)を取り扱っています。これらの薬剤を服用することで避妊だけでなく、月経周期の安定化、生理痛やPMSの軽減、肌トラブルの改善を感じる方もいます。

2.LEP製剤(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)

LEP製剤は、月経困難症や子宮内膜症などの治療を目的として使われる薬です。OCと成分は類似していますが、治療目的で使用する場合に保険適用の対象となる点が大きな違いです。
避妊薬として承認されているものではありませんが、実際は飲んでいると避妊している状態になります。(妊娠を希望される場合は中止することが必要です)

超低用量タイプ:ルナベルULD、フリウェルULD、ヤーズ、ドロエチ、ヤーズフレックス、ジェミーナ、アリッサ

低用量タイプ:ルナベルLD、フリウェルLD

連続投与タイプ:ヤーズフレックス(最大120日)、ジェミーナ(77日)

天然型のエストロゲンのもの(血栓症のリスクが上昇しない):アリッサ

OCやLEPは安全性の高い薬剤ですが、血栓症、高血圧などできるだけ起こってほしくないリスクもあります。年齢、肥満、喫煙などによりおすすめしづらい場合もありますし、前兆のある偏頭痛のある方など、飲んでいただけない方もおられます。(その場合は、3.POP、4.黄体ホルモン剤をお勧めすることが多いです)医師の問診の上、処方させていただいています。

主な副作用として、飲み初めに起こることがある頭痛、吐き気や不正出血があります。頭痛や吐き気は1~2週間、不正出血は通常2~3ヶ月で落ち着くことが多いですが、経過を見ながら落ち着くまで伴走します。

3.POP(ミニピル)

POPはProgestin Only Pillのことで、エストロゲンを含まない黄体ホルモン単剤の経口避妊薬で、スリンダ錠28が国内で承認された唯一のミニピルになります。OCやLEPと異なりエストロゲンを含まないため、血栓症リスクが増加しない選択肢として位置づけられています。エストロゲン含有製剤が使いにくい方や、年齢・喫煙歴・偏頭痛などを背景に安全性を重視したい方では有力な選択肢になります。また、自費診療となるため長期処方も可能です。主な副作用として飲み初めの頃の不正出血があります。量などを見ながら続けていける方が多いです。

スリンダ錠 1シート(28錠) 3300円(税込)

4.黄体ホルモン製剤

黄体ホルモン製剤は、エストロゲンを含まない治療薬で、子宮内膜症、月経困難症、不正出血、過多月経などに用いられます。ジエノゲスト、ノアルテンがあります。子宮内膜の増殖を抑え、痛みや出血を軽減する効果が期待され、OCやLEPが合わない場合の選択肢にもなります。
ジエノゲストには0.5mgの製剤と1mgの製剤があり、0.5mgは月経困難症に使用し、1mgは子宮内膜症の治療に使用します。
ノアルテンは月経困難症治療に使用する場合は保険適用となりますが、月経移動に使用する場合は自費診療となります。

怖い副作用はありませんが、主な副作用として不正出血があります。通常2~3ヶ月で落ち着くことが多いですが、経過を見ながら落ち着くまで伴走します。

5.IUS(ミレーナ)

ミレーナは、子宮内に装着して黄体ホルモンを持続的に放出するIUSです。主に過多月経や月経困難症に対して用いられ、子宮内膜を薄くすることで経血量や痛みの軽減が期待されます。内服が苦手な方や、長期的に安定した治療を希望する方で選択肢になります。ピルが合わない、毎日内服するのが難しい、来院頻度を減らしたい、という方にもおすすめです。

詳細はミレーナのページをご覧下さい。

6.GnRH製剤

GnRH製剤とは、脳の視床下部から出るホルモン GnRH(性腺刺激ホモン放出ホルモン) に作用する薬です。脳からホルモンが分泌され、卵巣に作用し、卵巣から女性ホルモンが分泌されるホルモン分泌のシステムを最上流でブロックする治療で、強力に女性ホルモンを抑えます。
当院では、主に子宮内膜症、子宮筋腫、思春期早発症 などの治療に使います。(ミレーナと併用することもあります)
種類としては、主に注射剤の GnRHアゴニスト(1ヶ月に1回) と、毎日内服 GnRHアンタゴニストがあります。

・注射剤の GnRHアゴニスト:リュープロレリンなど
・GnRHアンタゴニスト:レルミナ、イセルティ

GnRH製剤はとても効果の高い治療法ですが、副作用として更年期症状(ほてり、のぼせ、発汗、外陰部の乾燥など)があり、長期間使用すると骨密度の低下を起こすため、通常最大6ヶ月間の投与になります。また、更年期症状のうち抑うつ症状が現れることがあるため、投与中は1ヶ月に一度来院していただき様子を見させていただいています。

7.HRT(ホルモン補充療法)

HRTは、主に更年期障害に対して行う治療です。周閉経期や卵巣摘出後などで低下したエストロゲンを補います。ほてり、発汗、睡眠障害、気分の落ち込みなどの更年期症状を改善することを目的とします。また、将来の骨折の予防効果も期待できます。HRTには飲み薬、貼付剤(パッチ)、ジェル、膣錠などの投与方法があります。

子宮がある方ではエストロゲンとプロゲスチンの併用、子宮摘出後はエストロゲン単独が基本です。

・エストロゲン製剤:ル・エストロジェル、エストラーナテープ、プレマリンなど
・プロゲスチン(黄体ホルモン)製剤:エフメノ(天然型)、デュファストン、プロベラなど
・エストロゲン・プロゲスチン(黄体ホルモン)合剤:メノエイドコンビパッチ、ウェールナラ

月経痛、経血量の多さ、PMS、避妊法、更年期症状などでお困りの方は、お気軽に婦人科へご相談ください。ピルをはじめとした女性ホルモン製剤は多種多様ですが、そこから患者さまそれぞれに合わせて治療を一緒に選んでいただけます。

女性ホルモン剤は本当にたくさんの種類があります。効き目、副作用などは実際に飲んでみないとわからない部分もあります。場合によっては種類を変えたりして試しながら、最終的にはどれかの製剤に落ち着く方がほとんどです。私たちはお話を伺って相談に乗ったり、必要に応じて婦人科診察などを行ったりしながら、落ち着くまで伴走しています。

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